春の通勤電車

030517


 

春の朝の通勤電車は落ち着きが悪い。

4月、5月は、新しい通勤、通学の人達が増え電車の中が更に混雑し、何となく落ち着かなくなる。その混雑が理由ではない。
4月になって初めて通勤電車に乗るようになった人達のマナーが悪い訳でも何ともない。でも、何かが違う。

それは、まさに、いつも決まった場所に決まった人が座るのに、突然初めての人が入ってきて、知らずにそこに座ってしまい、周囲の人が何となく落ち着かなくなるのと同様かも知れない。

通勤慣れした人達は、混雑した車両での身の処し方を心得ているから、電車の振動や、停車駅での人の動きに対して、逆らわずに自分の体をうまく移動させている。

それにひきかえ、新入社員や新入生は、まだ自分の体を人と人の隙間の中に入れる術を知らず、人の動きに対する身の処し方も知らないので、やけに体がぶつかって来たりする。また、そのような顔ぶれの人の周囲には、やけに大きな空間が空いている。

これは、ちょうど箱の中に、物を詰めるときに、慣れている人は入れる順序や場所を心得ていて、限られた狭い箱の中に沢山の物を詰められるが、まだ要領を得ない人は、詰め方が分からず隙間だらけになり、同じ容積の箱なのに、慣れている人に比べ、少ししか物を詰めることが出来ず、箱の中が安定していないのと似ている。

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