白黒の世界

020523

 

白黒の世界

先日、東京で雪舟展をやっていたので、見に行った。
天皇陛下も見に行かれ、新聞では大々的に宣伝していたが、水墨画にはそれほど興味も無く、行く予定にしていなかった。しかし、素晴らしい作品ばかりで、もう一生見ることの出来ないものだと言われ、前夜に急に決めて出かけた。

開館時間前にもかかわらず、上野駅から美術館の方に向かって、沢山の人がぞろぞろと連なっていて、入場券を買うために長蛇の列が出来ていた。結局、入場券を買うのに30分近く並んでしまった。

水墨画というのは、白黒だけのモノトーンの世界で、油彩や水彩の絵と違い、それほどじっくりと感動しながら見るようなものではないだろうと思っていた。
しかし、見学者の熱気もさることながら、やはり世界の雪舟と言われるだけあって、筆使い、微妙な墨の濃淡による遠近感、透明感など、初めて水墨画の奥深さを知った。
有名な、「天橋立」や「山水長巻」などの本物を目の当たりにするのは、やはり胸が高鳴るものである。

水墨画の中には、中国の水墨画の影響を受けているためか、朱や緑がわずかに使われている水墨画も中にはあったが、基本的には、白黒の世界である。しかし、水墨画を見ているうちに、白黒であるという意識は全く無くなってしまう。
自分がその水墨画の世界に入り込んでしまい、色の区別もつかなくなってしまうのだろうか。

これは、夢を見たときに、後で思い返しても白黒の夢だったのか、カラーの夢だったのか思い出せないのと同じではないだろうか。また、昔見た白黒だったはずの映画が、今思い起こしても白黒の映画だったのか、カラーの映画だったのかはっきりと覚えていないのにも似ているのではないだろうか。

久しぶりに文化的な時間を過ごしたが、ただ、余りの人の多さに、見学者の列がなかなか前に進まず、係員に、立ち止まらずに前に進んで下さい、と何度も言われたのはいささか興ざめではあった。

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