011124
山行の帰りの横浜からの電車の中で、私が立っている斜め前の席が空いた。 その席は、私の隣に立っていた70歳前後と思われるご婦人との間だったが、私に対して「どうぞ」と言ってくれた。しかし、私が結構ですと言うと、そのご婦人が「次の駅で降りますから」とまた遠慮された。 ご婦人は、私が山の格好をしていたので、疲れていると思ったのかも知れない。あるいは実際に疲れた顔をしていたのか。だが、私は、この日の山行は山行とは言っても岩登りの練習だったので、ほとんど歩かなかった。だから、それほど疲れてもいなかったため、最初から40分間ほど、ずっと立って行くつもりでいた。 その時、周囲の人たちの顔が、一様にほころんだ。混雑した電車の中の空気が一瞬、爽やかな、なごんだものになった。 |