バスの中でのちょっといい話

020923-2

 

山行の帰りのバスの中での話である。

バス停で、遅れて来たバスに乗りこんだら、いつもはたいてい座れるはずのバスが、子供の団体とその付き添いの大人達で、すでに満席だった。
私と、私と一緒に乗った夫婦も立つことになった。

私が乗ったバス停の次のバス停には中高年の登山客のグループ20名が、バスを待っていた。すると、そのバスの運転手が、待っていたお客に満席なので次のバスにしてもらえませんかと、バスの外で時刻表を見ながら頼んでいた。しかし、次のバスと言っても1時間後である。その中高年のグループは、「バスの中で騒がないから乗せてよ!」と言っていた。安全上あまり沢山の人を立たせた状態で乗せないのかと思ったが、都市部では立っているのは当たり前だし、1時間も次のバスを待てなんてひどすぎると思って聞いていた。結局そのグループはバスに乗ってきた。

しばらくして、バスの運転手は、今後団体でバスを利用する場合は、直前にバス会社に電話すればバスを増発してもらえるので、それを利用されると便利です、とアナウンスしていた。それにしても、そんな事が出来るなんて知らなかったし、そのために中高年の登山客のグループをバスに乗せようとしなかったとしたらひどすぎると思った。若い運転手だった。

その日は午後から雨になっていたので、道路は混んでいた。私鉄の駅に着く30分位前に、バスの運転手が、ロマンスカーに乗る予定のグループの方に申し上げますと言って、道路が混んでいるため間に合わないかもしれませんと、アナウンスしていた。
私は、乗る予定の電車に間に合うか間に合わないかのそんなぎりぎりのバスに乗る方が悪いと、人ごとと思って聞いていた。

その時は、ロマンスカーに乗るのは、子供の団体なのか、中高年の登山のグループのどちらなのかは分からなかった。

しばらくすると、運転手はロマンスカーの時刻に間に合う保証はありませんが、バスのスピードを上げるので、立っている人はしっかりつり革に捕まってくださいとアナウンスしていた。

私はその運転手のすぐ後ろに立っていたので、その運転手が、間に合わせようとして本当に一生懸命なのが良くわかった。しかし、余り急ぎすぎて、途中で降りる合図をした客が1人いたのに気がつかず、ひとつ先のバス停まで行ってしまった。そのお客には文句を言われ、平謝りだった。運転手は小さな声で、しまった、気がつかなかったと言っていた。
でも、その頃私は、運転手が盛んに腕時計を見ながら運転しているのを見て、私までもが時間は大丈夫かなと腕時計が気になりだした。そのグループのためと言うよりも、この運転手のためにも間に合って欲しいと思いはじめていた。

運転手の努力の甲斐あって、駅前には定刻の2分前に到着した。運転手は、他の客に、ロマンスカーに乗るグループを先に降ろしてあげてくださいと頼んでいた。そのグループは子供達だった。子供達は、付き添いの大人にせかされて、バスを降りると一目散に駅に向かって走っていった。

結局私が駅のホームに着いたときにロマンスカーが入って来て、その子供達も間に合ったようだった。

あとで思うに、中高年の団体に次のバスにしてと言ったのは、きっと乗降時間を節約して、少しでも早くバスを駅に向けて発車させたかったからなのだろうと思った。

こんなに乗客のために一生懸命になる運転手さんがいる事を知り、とても気分が爽快になった。1時間以上もバスの中で立っていたにもかかわらず、疲れを感じなかった。

 

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