山行への心構え

020216


山には一人で行く事の方が多いが、一人で不安ではないか、とよく聞かれる。

いつも、一人の方が安心ですね、と答えることにしている。ただし、安全ではないですけどね、と付け加える。

登山はグループで行くものと言われるが、グループの場合はほとんどの場合、歩くだけに専念する事になってしまう。

ちょっとした良い景色、しばらく佇んでいたいような場所、きれいな花などに出会うと足を止めてじっくりと見たくなるが、グループで行くとそんな感傷に浸る暇などないし、皆のペースを乱してしまうことになる。
特に、デジカメで色々と写真を撮るようになってからは、絶対に一人でないとダメである。

一年ほど前に、ホームページのBGM用にと、丹沢の山中でせせらぎの音を録音したときに、山の中では思いもかけないほどの色々な鳥の声が聞こえることを発見した。それ以来、私はがむしゃらに歩かずに、五感を働かせて回りをきょろきょろしながらのんびりと歩くことに努めている。

しかし、私は、数年前からS社の丹沢の地図に赤い線で書かれた全てのコースを踏破することを目標に歩いているので、一日中誰とも会わないことも多い。

だから、私は山中で何らかの事故や体調の異変により動けなくなり、ビバーク(露営)せざるを得ない状況になっても生き延びられるように、いつもツェルト(簡易テント)、笛、固形燃料、レスキューシート等をザックの中に入れてある。

そもそも私が、携帯電話を持つようになったのも、私が一人で山に行くために、心配して家内に持たされたものである。携帯電話用の外付けの充電池も持参している。また、当然山の保険にも入っている。

得てして準備が良い人ほど遭難はしないもの、と思いながら、いつも使う出番のないものがたくさん入った重いザックを背負って歩いている。

でも、最悪、遭難して誰にも発見されることもなく死ぬことになっても、多分後悔はしないだろう、と言う気持ちで歩いている。(家族にこの雑感を読まれると、ちょっと困る。)

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